正論 2月号 

正論 2月号
発行 産経新聞社
定価 950円(税込み)

先月の、「クマ戦争」に引き続き、今回も雪が降り始めても収まりそうにない、クマ被害である。
先月のモノクログラビアの恥ずかしながら、ワシがライフル抱えているカットに替わって、今回はマジのアクチュアル(実際)の実任務中である。というても、自衛隊の主任務は猟友会によるクマ駆除の後方支援、クマ用の箱罠の設置や回収支援である。鉄製で300kgはあるクマ用…というてもイノシシやシカもかかるが、…箱罠は高齢で少数の猟友会員で多くをさばききれない。で、若く元気いっぱい、しかも危険を顧みず、日本人の生命、安全、財産を職務で守ってくれる自衛隊員はもっとも頼りになるからっちゅう理由からである。が、やで、民間人である猟友会員がやで、猟銃で武装し、戦闘訓練を受けた特別職国家公務員である自衛隊員が小銃ならぬ木銃と鉄パチに防弾チョッキにクマよけスプレーのみっちゅうんはいくらなんでも殺生やろ。
古代ローマ時代、コロッセオで猛獣相手に剣と盾だけで戦わされたグラデイエーターやあるまいし…たしかに自衛隊は「町の便利屋」では断じてない。災害派遣では震災、洪水、豪雪の雪かきに高速道路などでスタックした車両の引き出しやドライバーへの食糧や燃料の差しいれまで実施し、感謝されもした。今回も国民の負託に応えるべく、真剣にクマ対策に当たったはずである。しかし、や、自衛隊の本来の任務は「国防」や。野生動物の駆除は認められてない。でも国民やそれに当たる猟友会や自治体が危険うえ、人手も足らず、困ってる、で、後方支援で出動したものの、武器は野生動物に対し使えんから、普段銃剣道の訓練で使用している武具ならOKって、いやあ、あかんで。警察の機動隊、銃器対策班には法整備してでも、ライフル銃によるクマ駆除できるようにしたんやから、自衛隊にもそうしたらええのに…とも思うたんやが、自衛隊は実は慢性的に定員割れを起こしている。もう一人数役もこなさざるをえん状況で新にクマ駆除なんかの任務が加わったらそりゃあ、また普段の仕事、つまり本来の国防の任がおろそかになったら、本末転倒になってまうというジレンマもあった。それでもこの木銃持った自衛隊員の姿は痛々しい。