| 発行 | 産経新聞社 |
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| 定価 | 950円(税込み) |
目出たい新年号に、ふさわしいかどうか分らんが、今回のテーマは「クマ被害」である。もはや佐竹前秋田県知事が宣うたように「戦争」というてもええくらい深刻な被害がでてるのである。
冬眠してるはずのこの冬季、しかも積雪始まってるのにである。実はワシは現役猟友会員でもあり、毎冬猟期には出猟もするんやが、クマを目撃したのはたった2回。もちろん野生のである。
一度目は富山県の山中、オウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件でオウム幹部の村井ら6人により当時1歳の龍彦ちゃんも含めた一家皆殺しという残忍極まる事件で、龍彦ちゃんの母親だった坂本都子さんの遺体を村井らが埋めた現場にたどり着くまでに目撃した。
当然、現場は富山県やから当然本州、で、クマも当然ツキノワグマとなる。その名の通り、真っ黒の毛皮に包まれながら胸元にだけ三日月状の白い毛が生えている…・んやが、険しい山間部を藪を掻き分け、崖を転び落ち、カメラ持ったままで。這う這うの体で下り進んで、まさに意識朦朧状態やったのである。もうすぐそばで、目が合ったのである。意外と小さく、また10月やったので、クマの毛皮に落ち葉がひっついていたので、一見茶色に見えた。とっさに野営中から常備していたヴィクトリノクスのコンビネーショ・ナイフに手を伸ばして身構えたが、クマは次の瞬間脱兎のごとく、というか脱くまのごとく走り去った。なんや夢見てるのかと錯覚するくらい、夜明けから8時間歩きとおし、疲れ果てていたときである。なおその際、滝つぼに落ちそうになり、このまま行くことも引くこともできず、我が身を守るため、背中に負っていた買ったばかりのキャノンの500mm超望遠レンズをこともあろうか、その滝つぼに自ら落としたのである。
今一度は北海道でシカ狩りの最中に目撃した。積雪が始まり冬眠してるはずの、北海道やから当然クマはクマでもヒグマである。そのヒグマが現れたのである。シカ狩り中やから当然猟銃を持参していたが、あまりの衝撃に車の中に咄嗟に逃げ込んだすきに、ヒグマは消えてしまっていた。そのたった2度である。それがまあ、今年になって駆除されたクマやヒグマは6千頭になるっちゅうのである。クマに襲われ亡くなったのは13人、怪我を負ったかたは200人以上なのである。やっと日本列島も本格的冬が訪れ、クマの出没数も秋口より、少なくなってきたとはいえ、春になればまたぞろクマの被害が増えるのではと不安は尽きぬ。春が待ち遠しいというより怖い。