戦渦を活きる-報道写真家沢田教一のまなざし- 

戦渦を活きる-報道写真家沢田教一のまなざし-
発行 JCIIフォトサロン
定価 1,500円(税込み)

同時期に日本カメラ博物館で開催されている特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」にあわせて開催されている写真展の図録写真集である。「安全への逃避」や「敵を連れて」など我々がよく知る沢田作品に加え、タイトル通り、戦渦の町村で普通に暮らすベトナム庶民の暮らしを捉えた作品が興味深い。タイトルの「戦渦」は「戦禍」でないとこにも、戦時下でもごく普通の庶民の生活が根付いており、ときには笑いや喜びもあった…のも当然であろう。表紙の写真はおそらく取材先に向かう道中、迷彩服姿の沢田らを見つけ、お菓子をねだる子供ら、おそらく兄妹らを見事捉えている。また裏表紙のスクーターの後部座席の堀の深いベトナム美人の作品も車の中撮ったと思われ、沢田は写真週刊誌的撮り方も得意としていたのであろうか…しかも最期も車で移動中に待ち伏せである。
沢田は一ノ瀬先輩と違い、ベトナムが活動の舞台であったが、最期は一ノ瀬先輩同様カンボジアで殺害されている。一ノ瀬先輩と違いピューリッツァー賞、世界報道写真展、R.キャパ賞と世界的権威いある賞を総なめにした伝説の写真家であったが、フリーメーソン(秘密結社)のメンバー説もあり、人格者として知られ、青木富貴子氏による「ライカでグッドバイ」にもその生涯は詳細に語られているので、ワシごときがそんなレジェンドの人生にとやかくこく資格はないが、青木氏の「ライカでグッドバイ」は一の瀬先輩の講談社刊「地雷を踏んだらサヨウナラ」の後発である。から、このタイトルはなあ…高校時代西明石駅内の書店で「地雷を踏んだらサヨウナラ」を手に取り、思わず買い求め、大学時代池袋の書店で「ライカでグッドバイ」を見つけた時は「サヨウナラ」と「グッドバイ」…・ちょっと首をひねったのを覚えている。