発行 | 産経新聞社 |
---|---|
定価 | 950円(税込み) |
今回の「「不肖・宮嶋の現場」は6度目の奥能登である。時折しもGW始まったばっか、能登のおひざ元金沢では能登震災の合同写真展が開催されており、会場に顔を出した翌日には晴天のもと能登半島を周回してきた。想えば震災後、半島を周回する国道249号線を初めて輪島から珠洲市まで走った。震災後1年4か月ぶりに半島先端部の沿岸部は全く復興から取り残されたようであり、帰還する住民の姿もほとんどなく、淋しい限りであったが、そこはよそ者である不肖・宮嶋ごときがどうこう言う資格はない。そこは昨年元日に続き。秋には追い打ちをかけられるように豪雨災害に襲われ、16人もの住民や約400戸の家屋が濁流にのまれ、犠牲になった。グラビアページの写真はそんな町のひとつ、珠洲市の大谷町で開催されていた「鯉のぼり」の1カットである。大空を埋め尽くす色とりどりの鯉のぼり、白黒やが、に大はしゃぎの男の子、スマフォ片手にそれを記録せんと追いかける母親、それらを目を細めて見つめる祖母、とまあ絵にかいたような幸福な3世代家族であるが、他の住民の姿もなし、また写真も母親と祖母が写っていない、男の子だけのカットとなった。そっちの方が圧倒的にいい写真なんやが、肖像権の問題なんやろうか?現場では祖母のかたからお話しも伺い、全く問題なかったんやが…世知辛い世になった…というか、写真家泣かせの国やで。