正論 6月号 

正論 6月号
発行 産経新聞社
定価 950円(税込み)

今回の「不肖・宮嶋の現場」ではまたこの春の花の季節に能登に戻って参りました。今年のソメイヨシノ満開の季節は能都では悪天候が続き、晴れた週末は土曜日の一日だけであった。そのため、震災発生当初以来珍しく、国道249号線は桜満開時は大渋滞、輪島方向から能登サクラ駅の別名の「能登鹿島駅」に向かう途中からすでに渋滞が始まっていた。能登さくら駅こと、能登鹿島駅は駅舎はそりゃあ無人駅やから小さいが、花見のシーズンともなれば、列車に乗らず、ホームに並んだ約100本のソメイヨシノ目当てに多くの花見客が訪れ、屋台まで繰り出すくらいおお賑わいになる。今回も昨年に続き、能登鹿島駅やその周辺でのきれーな桜を絡めた鉄道写真という原点に返ったり、それと打って変わって、淋しい限りの被災地、とくに、昨秋の豪雨災害で被害を受けた輪島市町野町あたりの誰もいなくなった集落に咲き誇る桜などをメインに被災地を渡り歩いた。道路も軽のレンタカーで無難に回れるほど復旧していたが、まだまだ山間部は軽で怖いくらいであった。
他には井上和彦氏の対談のお相手「森田健作」前千葉県知事…なつかしいでんな…というより「青春の巨匠」と言われた森田氏もずいぶんお年を召された。井上氏と森田氏とは妙な因縁がある。井上氏、森田氏ともに芸能事務所「サン・ミュージック」所属であり、森田氏はさらにこの対談によると、サン・ミュージックの最高顧問という肩書であられるが、サン・ミュージックといえば四谷3丁目に事務所があり社長の相沢氏は名物社長として有名やが、あの松田聖子氏や事務所ビル往生から飛び降りて命を絶った岡田有希子氏や「センテンス・スプリング」のベッキー氏も所属いされており、わしら雑誌カメラマンとは因縁がある。というても、しょせんわしらバッタ・カメラマン、現場でお会いする、いや対峙することのほうが多く、松田聖子氏の最初の結婚式ではウエディング・ドレスをお腹にグルグルに巻いた激レアなお姿の撮影に成功したのがささやかなスクープである。。森田氏が1991年民社党の国会議員時代には当時世論を2分していたPKO(国連平和維持活動)自衛隊派遣に賛成されたことは有名やが、PKO法案が可決し、自衛隊施設大隊約600人が派遣されたカンボジアにまで視察と激励に来られ、ワシの目の前では色紙片手の派遣部隊隊員が森田議員の天幕の前で大行列作っており、森田議員は夜が更けるまで、杉浦千畝のように色紙にサインを書き続け、記念写真にも一人一人応じていた。それはそののちに同じ宿営地に現れた辻元清美当時ピースボート代表後の社民党国会議員センセイさらにのちに刑事被告人と大きな違いであった。本誌にも森田議員の芸能生活にも触れられており、代表作ともいえる「俺は男だ」の主役に抜擢される逸話も披露されているが、ワシとしては森田健作っちゅうたら、松本清張原作の映画「砂の器」の吉村刑事役、これが鮮烈に記憶に残っている。中央線沿線で故・島田陽子氏演ずる容疑者の愛人が隠滅しようとした布切れを捜し、駆けずり回るとこは鬼気迫るもんがあった。