にゃんこ関西弁辞典 

にゃんこ関西弁辞典
著者 西川清史
発行 (株)飛鳥新社
定価 1,500円(税抜き)

著者は元文藝春秋社副社長、もっと前は週刊文春グラビア班のNドケチデスクである。文藝春秋を退職した後は、よくまあこれほど次々に…というくらいすでに多くの著書を世に出された。とくにこの累計の「にゃんこ4文字熟語」「わんこ4文字熟語」だけで32万部も売れてるのである。32万部である。ワシがこの30年間でだした出版物全部…文庫本を抜けば、より多い…かな。
写真も権利がかなり安いものを買ったらしいが、さすが写真セレクトのセンスはいい…というよか、このアイデアである。この出版不況と言われる世に32万である。それでもわしが最後に出した写真集の百倍以上いやもっとか、それに対し、かかった経費は1000分の一くらいやろう。こりゃあ出版元の飛鳥新社もおいしはずである。それにしても楽しい一冊いや累計のも楽しいシリーズである。4文字熟語は世のお母さんが我が子に読み聞かせるため買ったのは想像に難くないが、この関西弁辞典は単純に楽しい。いや著書も認めるように、関西弁には結構、他人を罵倒する言葉に秀逸なものが多いのに改めて気が付いた。
著者は幼少期のみ大阪で高校時代まではいまもご実家のある和歌山で、以降はずうと東京で生活していたため真の関西弁を研究するため桂文枝(旧三枝)師匠の創作落語を徹底的に読み込んだと前書きにある。因みであるが、ワシは兵庫県明石の出身、父は京都、というても裏日本の海沿いの久美浜やが、母は姫路より山間部に入った福崎の出身である。12歳までは明石で、いわゆる明石弁のなかで多感な幼少期をおくり、、それから18歳までは姫路と加古川の間の高砂市にある白陵中学、高校に通ったので、日本で最もガラの悪いと言われる河内弁と双璧を成す播州弁のなかで育った。播州弁、明石弁とも関西弁のカテゴリーに入るが当時の国鉄の駅一駅ごとに発音や単語が微妙に違っており、中学入学時は授業でも先生の言うことが理解できないこともあった。大阪や神戸では明石出身者をこう呼んでからかう。「べっちょない、べっちょない(問題ない)」や「まったいのう(未熟、下手だなあ)」などがあるが、本書にもある「わしのん((私のもの)」が明石では一人称はわしより「わい」を使うことが多く、子供たちは「ちゃん」をつけ「わいちゃん」と自分のことを言っている。てな具合で本辞典とも微妙な違和感がある。さらに余談だが、大阪の朝日放送が制作している「探偵ナイト・スクープ」の名物企画だった「日本アホバカ分布図」では日本列島をアホとバカとタワケと呼ばれている境界線を探り、まさにその分布図を作り上げたという壮大かつアカデミックな番組があり、それは単行本化までされ、ワシも買わせてもろた。当時の番組プロヂューサーであり著者の松本修氏にはお会いする機会にも恵まれ、当時のエピソードを直接お伺いできた。なおこの分布図は日本方言学会でも発表され、その研究結果は高い評価を得た。おもろいぞ。そちらも同じタイトルで新潮文庫から発売されているので、ご興味ある方はぜひ。