月刊「秘伝」 

月刊「秘伝」
発行 BABジャパン
定価 1,000円(税込み)

このたび武術の専門誌「秘伝」から巻頭インタビューのお誘いがあり、なんとか誌面化が実現した。武術の専門誌と報道写真家との接点は意外かと思われるかもしれないが、実は発行元のBABジャパンの東口社長とは半世紀以上前からの知り合いというか、お世話になっていた。東口氏はBABジャパンを立ち上げるまえは「月刊空手道」や中国武術の専門誌「武術(うーしゅう)」などを発行していた福昌堂という出版社で編集長を務められていて、大学1年生やったワシはそのころから取材のお手伝いをさせていただいていた。極真空手の大山倍達館長が見守るなかの日本武道館で開催された全国大会ではどうやって瓦割を近くで撮ろうかと悩んだり、「今月の空手美女」のコーナーでは北関東の高校の空手部を廻ったり、忍術の武神館の初見良昭館長の取材では映画などで見る忍者と違い、極めて実戦的な「本当の忍術」を目のあたりにできたりと、学生時代のワシにはいや現在から考えても興味深い取材に関われたり、スポーツ写真の難しさを勉強させてもろたり、興味深いことばかりであった。取材には記者の方たちと一緒だったが、テレビドラマで活躍していた俳優の方や本当の格闘家のかたなどいらして、写真だけのみならず、社会勉強もさせていただいた。なかでも俳優であり、歌手でもあった武田鉄也氏が中国武術の手練れだったことから、若き日の武田氏の練習風景も目の当たりにできた。
また卒業後、写真週刊誌の専属カメラマンになり、創刊までの比較的時間があったころ、東口氏の乗っていたフィアットを売ってもらい、1年ほど乗っていた。白いスーパーミラフィオーレという車種でじみーなスタイルだったが、ラリーにも出てるパワフルな車であった。そののちはジムニーに乗っていた先輩カメラマンのTさんに売り、Tさんは真っ赤に塗装しなおし、ビンビンにラリー仕様にされてしまった。
そんな東口氏と半世紀以上たって再びご縁ができたが、取材にこられた2人の記者も格闘家であられた。腕力にからっきし自信がないわしとしては自分より強いかもしれん相手にも果敢に向かっていく格闘家のその肉体的なもちろん精神的強さは想像を絶するが、お二人はそんな様子はからっきし見せず、ごく普通の常識人であられた。まあほんまに強い人とはそんなもんであろう。本号に登場している日野武道研究所の日野晃氏や室伏広治氏もそうであろう。