発行 | 産業経済新聞東京本社2024 |
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定価 | 一部140円 月ぎめ3,900円(税込み) |
今回の「話の肖像画」の連載は近年の撮影技術の変化について勝手な持論を述べさせてもろた。ワシらの世代は大学時代から社会に出て10年くらいまで、銀塩写真、つまりフィルムを入れて現像して、プリントして写真を上げるやり方しかなかった。コンパクトカメラに限ってはゾーンフォーカスでAF、つまりオート・フォーカスや自動露出があったが。大学では当然そんな撮影に必要な技術や知識を学ぶことになったが、デジカメなんぞ夢にも見なかった時代である。ピントはもちろん露出も現像もプリントといった暗室作業もみんな学校で学んだ。もう写真が嫌になるくらい。一眼レフにAF機能がつくのは卒業からしばらくたった頃、実用化されたのはミノルタ(当時)のアルファ・シリーズから。これでワシらの仕事道具の最もメインとなる一眼レフカメラの操作で最もややこしく、かつむずかしいピント合わせから解放されたが、もっともワシらはいっつもAFばかりを信用してるわけではなく、ピント再確認は欠かせない。さらに10年経って、デジカメが出現する。大学時代に開催されたロサンジェルス五輪で初めて。
ソニーの「マビカ」という初期のデジカメが実際の報道現場で使用されたが、その出来を新聞紙面で見た時はワシの目が黒いうちはデジカメの時代は絶対に来ないと確信したくらい、その初期のデキカメの質はひどかったのである。それからわずか10年で、デジタルの時代は始まってしもうたのである。次々に世に出るデジタル一眼レフカメラはその出現のたびに性能と値段がアップし続け、現在のミラーレスカメラの時代を迎えたのである。もはや大学時代に学んだ暗室技術や数式を社会で使うこともほとんどなくなった。1939年フランスでダゲレオタイプのカメラが発明されて、2世紀足らずで、写真は信じられん進歩を遂げ、わしらカメラマンはそれにつれ、翻弄されつづけたのである。
紙面に掲載された写真はそんな最新のミラーレスカメラにライカの伝統的な50mmのズミクロンレンズを装着したハイブリットなものである。もちろんAF機能もないが、絞りリングはある。そのレンズは2年前に亡くなった小原玲氏のアパートから見つかり、肩身分けしていただいたものである。さあこのレンズで何を撮ろうかいな他には1面にはパリ五輪の一報、男子柔道の阿部一選手が東京五輪に続き2連覇。妹の阿部選手のお気の毒でったが、勝負はしょせん時の運である。いくら実力があり、血のにじむような練習を重ねても、未熟な審判に当たったらわやである。さらに9面安倍元首相が暗殺されてから2年となることに加え、追悼集会で公演されてるジャーナリストの櫻井よしこ氏の写真が掲載されている。ほんに時の経つのは早い。特に60歳をすぎてからは…