月刊「丸」 

月刊「丸」
発行 潮書房光人新社
定価 1,480円(税込み)

今回、老舗「丸」編集部からお呼びがかかったのは、護衛艦「かが」艦上でのF-35B戦闘機発着艦試験訓練の取材であった。試験終了後海幕がリリースした甲板上で行われた記者会見の写真に白髪頭のわしが真ん中でばっちし写ってるのを編集長が気づき連絡してくださったからであった。選ばれた写真もさすが専門誌しかも老舗ということもあり、F-35Bの発艦シーンは全くなく「かが」クルーや指揮官の護衛艦隊司令官の伍賀海将らのばかりであった。他には表紙にもあるように帝国海軍の潜水艦の特集をグラビアから活版ページぶち抜いて組んでおられている。さういえばこれまた表紙にあるように日本の潜水艦は空母「ヨークタウン」や「サラトガ」も沈めており、まさに空母キラーだったばかりか、伊58号のように広島に投下された原爆を「エノラゲイ」発進基地だったテニアン島まで米本土から運んだ巡洋艦「インディアナポリス」を撃沈した艦まであったのである。これがテニアン島に原爆積んで向かうときやったら、インディアナポリスは原爆ともども沈み、歴史は全く違ったもんであったろう。なおこのインディアナポリスの数少ない生き残りという設定がS.スピルバーグの出世作「ジョーズ」のサメを退治しにいくR.ショー演じる船長という設定やったのである。また零式小型水上機を搭載した伊号がアメリアカ本土を空爆した唯一の快挙となったのはあまり知られていないが、さらに伊号400番代のような大型潜水艦内に翼を折りたたんだ攻撃機「晴嵐」を格納した、いわば当時から現在にいたるも世界の海軍で唯一の海中空母を開発、しとったのが当時の帝国海軍やったのである。それが荒唐無稽の話やなかった証拠に実際アメリカ西海岸を空爆するというとてつもないことをやってのけたのである。人的損害は出さんかったがアメリカ人に与えた心理的恐怖はすさまじく、これまたS.スピルバーグのパロディ映画「1941」にも三船敏郎演じる伊号潜水艦艦長が西海岸を砲撃するシーンとして登場している。「1941」は単なるパロディというにはあまりにも出演者が豪華で三船敏郎他「ブルース・ブラザース」で主演し。この「1941」出演後ドラッグのせいで早死にしたしもうたジョン・ベルーシとダン・エンクロイドやサム・ペキンパー映画の常連ウオーレン・ウォーツなんかもでている。しかしもっとも意外やったのは伊号潜水艦に乗り込んでいた当時同盟国軍だったドイツ軍の軍事顧問士官の吸血ドラキュラ役が当たり役となったクリストファー・リーであった。また三船敏郎が唯一演じたと言ってもいい三枚目役として登場した映画であった。