Will 11月号別冊「歴史道」 

Will 11月号別冊「歴史道」
発行 ワック(株)
定価 1,100円(税込み)

久しぶりに「歴史道」に寄稿させていただいた。しかも「司馬遼太郎と戦える日本」のコーナーの最初で登場させていただき恐縮である。テーマは「硫黄島によせて」サブタイトルに「栗林中将夫人のスピーチに涙」とあるとおり、過去5度、こんな稼業やっているから、なんとか上陸できた硫黄島とその戦いについて、感想を述べさせていただいた。当時は目を疑ったんやが、2度目の1995年4月に行われた日米合同の硫黄島戦50周年慰霊祭では日本側指揮官、栗林忠道中将夫人である栗林義井氏が出席されていた。しかし現在これを記録報道しとったメデァがほとんどないっちゅうもんも驚きであった。写真も昨年の写真展「東京都硫黄島 北海道国後島」で展示された作品の中から使用したが、本来カラーページのため、カラーで用意したかったんやが、締め切りの関係で白黒のみとなった。それにしても思う。硫黄島の戦いについては梯久美子氏ご著書の「散るぞ悲しき」に詳しいが、司馬遼太郎氏が手がけていたらどんな作品になっていたかと思うと興味が尽きんとこやが、梯氏はなんとワシと同い年、2006年にはこの「散るぞ悲しき」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されている。無知蒙昧なワシが硫黄島で散った英霊のためにできた事と言えば取材当時、今からでは想像もできんくらい牧歌的な時代だったため、そんな栗林中将が最後まで指揮を執っていた「司令部壕」も含めた硫黄島の地下壕で2夜滞在できたことである。火山島でもある硫黄島の地下はすさまじい熱気で一睡もできず、当時の将兵の苦難のほんの一部であるが、体験できたことくらいであった。