正論 7月号 

正論 7月号
発行 産経新聞社
定価 950円(税込み)

今回の連載は3度目になる能登震災取材。輪島市の袖ヶ浜海岸である。震災前の袖ヶ浜は海水浴場でもあり、看板の写真にはビーチまで波が打ちあがっているが、この時は海底が隆起して白い岩面があらわになっていた。上から見ると海水浴場のビーチも海底は黒く見えるが海面上で干上がるとなぜか白く見える。ロングで引いたこの写真では分らんが、実は足下の岩間には突如地上になって動けなくなったサザエやアワビがゴロゴロ転がっていた。もちろん持ち帰ったりせんかったが、震災発生直後は沿岸部の孤立集落では上下水道、電気は途絶えたが炭火はおこせれば、そんな貝類が手づかみで獲れたので、それらをバーベキューにして飢えをしのいでいたところもあった。しかし4度目7月に訪れたときには、波が明らかに岸に近づいているように見え、急な隆起のリバウンドなんやろか、海底が沈下してるように見えた。しかし、隆起にしろ、沈下にしろ、自然のエネルギーとはすさまじいもんである。
他には「なし崩しの移民受け入れ」の特集が興味深かった。ホンマ日本はどないなるんやろ?
さらに他には結城豊弘氏の「シネマ異聞 そこまで言う?」はじっくり読ませていただいた。結城氏はそのタイトル通り、読売テレビの人気番組「そこまで言って委員会NP」の演出を担当されていらした。わしもお呼びがかかったこともあるが、その際に挨拶させてもろうた。が、お父上が写真をやられており、あの植田正治氏とも懇意にされていたとは驚いた。この連載で紹介されている「明日を綴る写真館」は残念ながらまだ拝見してないが、ワシの頭にも「引退」の二文字がよぎった。この映画の主人公のように平穏な暮らしを取り戻しても、まだ自分の写真を追求していけるような老後が送れる…ことは無理か…