The Railway World 櫻井 寛、絶景列車を撮る

The Railway World 櫻井 寛、絶景列車を撮る
■著者 櫻井 寛
■発行 (株)世界文化社
■定価 2,600円(税別)

著者は不肖・宮嶋の母校、しかも同じゼミ出身の先輩である。かくいうワシもカメラ持つきっかけは鉄道写真である。本書も著者の同タイトルの写真展での図録的な意味合いもあるが、やっぱ写真は生で大きく伸ばしたオリジナルが一番であるが、いかんせん写真展会場では展示作品の数は限られる。本書はその作品に大幅に作品を追加したばかりか、後半には「豪華列車 日本の鉄道風景」まで掲載されている。写真展会場には著者が本書の帯にもあるとおり、95か国にも及ぶ著者が訪れた国々すべての一か国1カットの作品のみが展示されていた。そりゃあそうや一か国1カットでも95カットである。いくら会場が品川のキャノンギャラリーというても95カットでもサイズにもよるが相当なスペースが必要やろう。プリントは会場の関係ですべてキャノンの大型プリンターで出力したもんやが、それをさらに3枚も4枚も貼り足した巨大カットもあり、そのド迫力にはど肝を抜かれた。写真展会場では鉄道写真の第一人者の著者自らに解説を賜り恐縮至極であった。ただそんな地球をまたにかけた著者でもまだ撮影されてない列車を不肖・宮嶋、撮影に成功したことがある。それは北朝鮮の2代目、3代目の特別列車である。やれ日本の植民地時代のやつをいまだに使ってるやの、ロシア製やの様々な噂があるが、そんな特別列車の外面だけやが撮ったことがあるのである。今度鉄道写真のコンテストがあったら出展したろかいな…それでもわしもカメラマン生活40年、「世の中の汚いもんを見すぎた。」C.イーストウッド主演「ダーティー・ハリー」のなかのセリフやが、ワシもどこで道を誤ったんやろうか?いくら作品の質がよくても、被写体が被写体じゃあなあ。もう一度生まれてもカメラマンにしかなれんが、今度はもっと美しいんもんを撮ろかいな…いや、近い将来報道の世界から足洗うたら、いくらでもそんな機会はあるかいなって、そんな老後を一番嫌がってた自分やし、カメラを軽いミラーレスに替えてもうちょい悪あがき続けたるわ。