正論 2024年1月号

正論 2024年1月号
■発行 産経新聞社
■定価 950円(税込み)

今回は三度北海道が舞台である。、陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練レゾリュート・ドラゴン23の取材のため道東矢臼別演習場にやってきた。目玉は米軍のHIMARS(高機動ロケット砲システム)と陸上自衛隊の多連装ロケットシステム自走発射機(MLRS)の実弾射撃である。どちらもアメリカが開発しまたその名の通り、多連装のロケット発射機でありながら自走できる。がMLRSのランチャーが12発装填でけるのに対しHIMARSは半分の6発である。あれほど大きくパワフルなもんを好むアメリカさんの海兵隊がなんでそんなHIMARSを選んだのかちゅうと、HIMARSはC-130輸送機に乗せ運べれるのである。世界中に機動展開能力を有す米海兵隊と国内で専守防衛を旨とする自衛隊との発想の違いであろう。まあ見かけはロシアや北朝鮮のカチューシャロケット砲に似とるが、中身のロケット弾の射程と精度が全然違う。このLMRSは湾岸戦争でも使用され文字通り砂漠に血の雨を降らせたが、HIMARSも現在も続くウクライナに侵攻したロシア軍に使われた。わしもウクライナ東部のバラクレアという町の郊外のロシア軍基地跡でこのHIMARSの攻撃のすさまじさを垣間見た。1000人ほどいたロシア軍の大基地はは一瞬で壊滅、生き残ったロシア軍将兵は直ちに撤退していった。なおHIMARSとLMRS共に射程は70km以上、日本でこれほど長距離の実弾射撃できる演習場がないためアメリカのヤキマなどで行っていた。ワシもハワイのカウアイ島で米陸軍の対艦目標のHIMARSの実弾射撃は見たが、日本で見るのは初めてであった。残念ながらランチャーの側でのはモコン撮影でも撮影は許されず、発射瞬間の迫力ある映像は撮ることは叶わんかったが、陸上自衛隊の19式155mm自走榴弾砲の連続射撃はごく至近距離で撮影できた。155mm榴弾砲の実弾射撃は本連載でも紹介させてもろたが、最新式の19式自走砲のしかも連続射撃のさらにしかも至近距離からはもちろん初めてであった。しかし、連続射撃ともなると発砲煙が立ち込め霞みががった写真になってしまうから、1っ発目勝負となった。今回の連載はその直後自衛隊の射撃地点に訪れたラーマ・エマニュエル駐日米大使のカットである。このエマニュエル大使、LGBT法案の成立を我が国に急かして成立させようとしたりと、なにかとどあつかましいと思うていたが、わざわざこんな北海道の奥地にまで自衛隊や海兵隊の視察に訪れるとはやはり中露の脅威を共通体験しようとする目的でもあったのであろう。さらにこのエマニュエル大使、鉄道オタクとしても有名で、関西地方に視察に行った際はわざわざ阪急電車に乗って移動しようとして警備陣をあわてさせたという。念願叶って乗車した後ネットにコメントを発表、「ハンキュウ・ベリマッチ」と。ほかには海上自衛隊三姉妹のカラーグラビアには驚いた。たった1カ月とはいえ、全く違う部隊にいた三姉妹が偶然にも同じ江田島で学ぶ機会を得たというのである。ワシも知っとったら取材に行ったんやけどなあ。