正論 令和5年12月号

正論 令和5年12月号
■発行 産経新聞社
■定価 950円(税込み)

今回の連載は陸上自衛隊木更津駐屯地での航空祭である。陸上自衛隊なのに航空自衛隊みたいな航空祭?と首を傾げられたような初な方もおられるやもしれんが、木更津駐屯地はなんとあの「オスプレイ」が配備されとるのである。一時的やが。正式配備先は長崎県佐世保市に居を構える日本版海兵隊ともいえる陸上自衛隊水陸機動団の足となるべく、木更津より近い佐賀空港になる予定である。しかし…この連載掲載後の昨年11月29日に鹿児島県屋久島沖で発生したアメリカ空軍のCV-22オスプレイ墜落事故の影響でしばらくフライト自粛する事態に陥ってもうたのである。けったいである。米空軍のCV-22は特殊作戦用にもでける特殊なオスプレイで海兵隊のMV-22や陸上自衛隊のV-22とは基本構造は同じやが、機種が違う。現に事故直後も米空軍のオスプレイは飛行中止してたが、海兵隊のMV-22は普通に飛んでおり、それがまた事故のあった鹿児島県や沖縄の自称市民団体の皆サマをいらだたせたが、しばらくしたら海兵隊のオスプレイも全機飛行やめてしもうた。あの事故さえなければ、今回の能登震災でもオスプレイは大活躍したやもしれん。いやそもそもこんなことで飛行中止にしてももうたら、何の根拠もなしに「オスプレイは危険」やとこいている沖縄の活動家やなんでもハンタイ派の自称市民団体の思うつぼやんけ。オスプレイとてしょせん人間の作ったもんや。形あるもんはいつかこわれる。どんな状況で事故に巻き込まれるやもしれん。それは能登半島震災発生翌日に羽田空港で起こったJAL機と海保機との衝突事故を見るまでもなく明らかや。オスプレイだけ異常に事故が多いなんて事実はない。たしかにオスプレイはヘリコプターと固定翼機のいいとこ取りした初の「ティルト・ローター機」や。開発初期の段階では試行錯誤のうえ墜落事故もあったわい。せやけど、あのあれほど自国の兵士の安全にだけは気を配る米軍が何でもハンタイ派だけが危険とこく航空機を配備するはずないやんけ。沖縄のメディアにはもはや聞く耳持たんから無理やけど、なんでこんな画期的なティルト・ローター機の長所も報道せんのや?たとえば特に航続距離がながい点や。オスプレイやと積載量や搭乗人員数または飛行モードにもよるが、最大1600キロ以上や。これは東京から能登半島輪島市まで直線距離で300km弱をまあ余裕で無給油で往復でける。なお米軍のオスプレイは空中給油でけるが自衛隊のオスプレイに空中給油できる給油機が航空自衛隊のKC−130があるけど、ヘリにしかできんか。まあそれでも我らが岸田首相が能登の被災地視察するときなんかは首相官邸から航空自衛隊輪島分屯基地の臨時ヘリポートまで1時間ちょいや。ほしたらオスプレイの安全性もPRでけて一石二鳥やったのに、それを、確か官邸から航空自衛隊入間基地まではスーパーピューマで、そっから小松基地まではなんとC−2でって、いったいお付きの方々が100人以上おったんかいな…さらに小松から輪島分屯基地まではCH−47ヘリと2回もヘリと輸送機乗り継いで、2時間以上かかったはずや。次こそはオスプレイ乗って視察視察行ってくださいませ。