正論 9月号

正論 9月号
■発行 産経新聞社
■定価 950円(税込み)

今回の連載はまたまた故郷・兵庫県での取材となった。しかも3年前にも取材した帝国海軍の鶉野飛行場跡でである。鶉野飛行場跡は3年前と大きくかわっていなかったが、3年前は屋外展示していた「紫電改」が今回は年に数回にしかもわしが訪れた時は屋外展示あったばかりで、しばらく屋外展示はされないとのこと、残念であったが、まあそれでも今回は「紫電改」の取材でなく、同じくここ鶉野飛行場と縁が深い「97式艦上攻撃機」の取材であり、その97艦攻は吊り下げ展示のため、当初から屋外で展示される予定は全くなかったのである。実はこの97艦攻は昨年4月に展示がはじまり、そのオープニング当初はいろんなイベントもあったのはわしも承知しており、ぜひ駆けつけないかんとは思うとったんやが、なにせその前々月にロシア軍が突如ウクライナに侵攻、4月までウクライナ行きっぱなしやったのである。
しかしまあこの取材をきっかけに97艦攻と故郷・兵庫県や鶉野飛行場との関わり、97艦攻には中島飛行機(現SUBARU)製と三菱製という名前は同じ97艦攻ながら違う機体やったこと、97艦攻の特攻にはパイロット(操縦士)一人がむかったのではなく、偵察員、電信員という従来の任務と変わらぬ3名で行ったなどまだ知らぬことばかり、いろいろ勉強させていただいた。しかし、わしは特攻に志願しその命を捧げられた英霊を冒涜するつもりまないが、大戦末期すでに鈍足と言われていた97艦攻で、しかも1機に3名を搭乗させたままの、特攻に向かわせた海軍の作戦には首をかしげざるをえんかった。
また3年前の「格納庫」での展示と違い、今はその隣に地元加西市地域活性化拠点「SORAかさい」という館内での展示となり、これまた地元神姫バスグループの管理下となり、週末には貸し切りバスで団体客も訪れていたものの、97艦攻取材日が2日間とも悪天候だったせいもあるが、3年前ほどの活気は見られなかったものの、お土産も充実しており、わしも記念に日の丸主翼に輝かせた「紫電改」のポロシャツを長袖、半袖1着ずつ買わせていただいた。ちょこっと遠いがいまや原型の97艦攻や紫電改が、たとえ実物大の模型とはいえ、見れるのはここ鶉野だけである。ぜひお薦めしたい。