■著者 | 宮嶋茂樹 |
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■発行 | (株)文藝春秋 |
■定価 | 1,800円(税別) |
久しぶりの活字、しかも紙の実体のある書籍の出版である。しかし、なんで「最後の・・・」なんて書いてしもうたんやろ。いまも3回目のウクライナ行き真っ最中である。いや実際今回ほど体力気力の衰えを感じた取材はなかった。今回のウクライナを最後の戦場取材であってほしい。不肖・宮嶋にとっても。人類にとっても。最初にウクライナ入りしたのはロシア軍の侵攻直後の3月3日。当初の予想では首都キーウは1週間もたずに陥落し、ロシア軍占領下のキーウでは自由な取材どころか、即逮捕か強制送還のはずが、ウクライナ軍の奮戦により、ウクライナ軍が奪回した各地で取材ができ、3月から6月まで間の2月半滞在、こうやって単行本の出版までこぎつけた。しかし、まだまだこの中にも触れてない話も多々あり、いくらウクライナ軍の奮戦中とはいえ、相手は世界最大、最恐の核保有国でありながらそれをちらつかせ国際社会を恫喝する専制国家。なんとかこの戦いを見届けるまで通うつもりである。実際過去の紛争地と違い、ここを訪れた日本のプロの写真家はほとんどおらず、この書はそんなプロの目を通した貴重なウクライナの実際を表現できたと勝手に自負している。それにしても本書中でも触れているが、ウクライナがこれほど親日的な国民性やとは知らんかった。不肖・宮嶋が戦時下にもかかわらず、3度もこの地を訪れたのもそのおかげである。あえてどこの国とはいわんが、この地球上には日本人が2度と行きたくないような反日国家がいまだいくつかある。