正論  5月号

正論 5月号
■発行 産経新聞社
■定価 900円(税込み)

今回の連載は今年で10年目になる東日本大震災の被災地の現場から当時の民主党政権かの「悪夢」を思い出させてもろた。この節目の10年目、あの10年前の悪夢を忘れんためにも、じっくり被災地を見て回りたかったが、このせっかくの節目に日ごろの行いの悪さから充分な時間がとれず、駆け足の被災地めぐりとなった。もっと岩手のほうも行きたかったが、3月11日前に帰京せざるをえんかった。今回は福島と宮城のみとなったが、本連載では石巻市の旧門脇小学校を現場に選んだ。この門脇小学校は同じく石巻市内の小学校で108人の児童のうち7割以上の児童が死亡、行方不明のままで市を相手取った裁判も続く大川小学校と違い、全児童、教職員がこの背後の裏山に校長先導のもと避難、助かったのである。また当日登校してなかった児童が今だ行方不明という皮肉な結果にもなった。10年前と違い門脇小学校は児童数がさらに減り閉校となり今は震災遺構として当時の火にのまれたすすだらけの悲惨な姿のままであるが、近くのお寺の墓地もかさ上げされ、さらに近くに南浜地区復興祈念公園が出来たが、訪れる人はまばらでったが、さらに海沿いのあの日和大橋に加え新たなでっかい橋の工事が進行中、その威容を誇っていた。日和大橋は震災直後そのふもと鯨の大和煮の巨大缶詰がころがっていたことでも知られた橋であるが、その麓もすっかりかさ上げされていた。10年前よりもっといい街にを合言葉にここまで復興したかと、ほんま東北に足はこぶたんびに目を見張っていたが、今だ福島には自由にうちに帰れぬ帰宅困難区域もまだまだある。そうや、また東北へ行こう。