日本カメラ 3月号

日本カメラ 3月号
■発行 (株)日本カメラ社
■定価 990円(税込み)

年明け早々、編集長の佐々木秀人氏よりお便りいただき、震災10周年特集に協力させていただいた。佐々木氏のお話ではワシのほかにも様々な分野の写真家にも作品提供をお願いされているとのこと、またテーマは「フクシマ」ということであった。テーマが福島でなく、カタカナのフクシマだったので、ちょっとだけ悩んだ。が、今まで発表したくてもその機会が無かった自信作や、拙著写真集「再起」発表後も被災地に通い続け、撮りためてた作品の中カラカメラ専門誌上にふさわしい良質の作品を選びに選び、気合いれて、出張前に日本橋の日本カメラ社まででかけ、編集長の佐々木氏に直に作品を手渡した。出版後他の作家の作品を拝見したが、福島のみならず、宮城、岩手をテーマにされた作家の方ばっかであった。おそらく編集長が作家の個性からテーマが漠然とせんようご配慮くださったんであろう。地元で実際被災された作家の方、ボランテイアの延長で被災者のアルバムの写真洗浄に関わることで、プリントの大切さを再発見された作家とかもう様々な表現活動されてる方々ばかりで、改めておんどれの無知蒙昧さを恥じるばかりであった。それなのに、いっちゃん最初のページの見開きにわしの作品掲載していただき、恐縮である。実は今回は10年目であったが、2012年の3月つまり1周年の際も週刊文春グラビアで3月11日午後2時46分を撮るという企画があり、誰もがその名を知る大家の写真家から新進気鋭の作家に依頼され。ワシもその末席を汚させていただいたが、発売後ページ開いたら、東京の武道館の慰霊祭の花や東北とは何の関係もない沖縄の民族踊りやの道端の花やの2時46分やったら、日本中どこでも、何撮ってもエエからって、一般誌では難解すぎる作品が多かった・・・と、わしには見えた。ワシともうお一方ぐらいであった。被災地で撮られた方は。ワシのはわかりやすかったで。そもそも2万人近くの方々が亡くなったり、、今だ行方不明のままの災害をテーマにした作品に優劣つけるなんぞ、あまりに礼節に欠けるが、しかしなああまりに自己満足的な解釈で作品に箔付け発表されるのも、ちょっと首をかしげた。が、今回の日本カメラ誌はカメラ専門誌的に、良質な作品ばかり、各作家の被災地やそこに暮らす方々への思い入れも感じられた。日本カメラ誌の休刊が知らされたのはそこの2月後、最後の編集長の佐々木氏からのお頼りからであった。アサヒカメラに続き、日本カメラもかいな・・・わしはこの3月号も含め3度しか作品を発表できなかった良質のカメラ専門誌であった。