THE SNAP SHOT 

THE SNAP SHOT
■発行 ワイズ出版
■定価 3,800円(税別)
■著者 鷲尾倫夫

著者は言わずと知れたフォーカスのカメラマンであった。ワシも写真週刊誌現役時代はたびたび泣かされ、同じくフォーカスのカメラマンだった磯俊一と同じ時期にカメラマンとなった不幸を思い知らされた。が、著者はそんな写真週刊誌での仕事のかたわら、いや、写真週刊誌の仕事でも丁寧に計算されつくしたポートレートや風景のスナップショットの作品を残され、またいや今も現役バリバリである。写真集前半は著者の船員時代ライカのM4で撮られた海外の作品、途中からは6X6のノートリミングの作品が続く。著者がハッセルブラッドの遣い手であるのは業界で知らない者はモグリである。デジカメ全盛の現在でもハッセルを首から2台下げ、沖縄はじめ全国にでかけておられると本人からお聞きした。わしの写真週刊誌現役時代でもハッセルを仕事で使用したのは2回だけ。そのうちの一回は元横綱貴乃花と女優宮沢りえとの婚約記者会見だった。仲人は当時の福ダイエーホークスやったかな?監督の王貞治夫妻やった。かように特別なカメラであった。ていうのもワシは中判はペンタックスの645や6X7を愛用していた。ハッセルは何がカコエエかといえば、あのウエストレベルで撮影しながらの素早いフィルム巻上げとフィルムバック交換で、そのフィルムバックにいかに早く正確にフィルムをつめられるかがプロの証とまで言われていた。著者は今やそんなハッセルを使わせたら日本一ちゃうか?ハッセルの遣い手の報道写真家は他にももいる。かつてバグダッド空爆下で一緒に仕事した村田信一カメラマンもメインはキャノンのデジカメだったがハッセルを1台首からさげておられた。同じく同時期バグダッドにいたマグナムのブルーノもあいかわらずハッセルを使っていた。ハッセルブラッド通称ハッセル。まさに遣い手をえらび、もっているだけでプロを名乗れたが、使い方を見たらエセカメラマンはすぐばれるボディーはスエーデン製の6X6センチサイズの一眼レフ、レンズはツワイスが交換レンズでそろう高価なカメラである。フルセットそろえるにはマンションが買える金額であった。