正論 11月号 

正論 11月号
■発行 産経新聞社
■定価980円(税込み)

今回の連載はコロナ禍の収まった北海道、いや日本の最北端の地にも近い天塩海岸でのきわめて実戦的な強襲上陸訓練である。我国に日本版海兵隊とも言うべき「西部方面普通科連隊」改め現「水陸機動団」略して「水機団」になって初めての国内での本格的強襲上陸訓練でもある。九州上陸訓練は毎年始め、米西海岸のレッド・ビーチで米海兵隊と陸上自衛隊との共同訓練、作戦名「アイアン・フィスト」(鉄拳作戦)でも見てきたが、上陸海岸実際障害物まで設置した訓練は初めて見た。これは当然専守防衛を旨とする我が自衛隊が国土を守るため、あえてどこの国か名はあげんけど、侵略者どもに攻め込まれそうになるまえに、すみやかに敵上陸部隊を阻止するための地雷や機雷などの障害物を設置するための施設部隊(工兵)の訓練も兼ねてるからである。やはり自衛隊というホンモンの戦闘集団が設置する障害物である。波消しブロックひとつ並べるのにも意味がある。このあたりがノルマンディー海岸のようにもはや戦跡となった海岸線やアメリカみたいに本国に敵に上陸される心配がないから、こないな実戦的沿岸防衛訓練やらんとこと違う。それにしてもまるで映画「プライベート・ライアン」最初のシーン見てるみたいである。ナマで。ちなみに日本はアメリカと違い「地雷禁止条約」に加盟してるから、訓練とはいえ、地雷設置してええんかと疑問に思われた方、アンタはするどい。本連載でも紹介させてもろた水陸両用の94式水際地雷敷設車がばらまいていたのは水中やから地雷でなく機雷やというのである。正確には。防御部隊がビーチに見えないように設置したのも正確には「指向性散弾」という。アメリカ映画でも字幕では地雷と出てるが、セリフでは「クレイモア」と商品名で出てるあれである。あれも埋めっぱなしでなく、有線で兵隊が敵がスイッチいれてはじめて爆破するので、戦闘終わって双方が忘れて、戦後子供が前通っても、地雷そのものにちょこっと触るぐらいでは爆発しないから、いわゆる中国製なんかかの廉価で大量生産、大量散布された危ないもんやないという論理である。我国でも空襲でばら撒かれた米軍の不発弾処理に陸上自衛隊のEODが出動するのがお馴染みになったが、同じく米軍や旧軍が海中にしかけた機雷もときどき見つかってるが、こちらは海上自衛隊のEODが処理に当たる。まあ機雷は水陸両用車や、上陸用舟艇やもっとすごいのは空母や大型艦船まで一発で沈めてしまう大型のもあるけど、ひとが触ったぐらいで爆発したらコスパ悪いまらなのか、事実大型機雷には海上自衛隊のEODが爆薬ひっつけて誘爆させて処理してるから、EODが触ったぐらいでは爆発せんのやろか?ほんま戦争とそれをとりまく条約はこっけいというか、けったいである。ほかには宮本雅史氏の「特集 三島没後50年」「いまこそ市ヶ谷の変の再検証を」はすごい。いっやあほんまあの三島らの憂国の意思と比べ、政治家や官僚の自己保身のせこいこと・・・宮本氏とは古い知り合いで、産経新聞那覇支局長というホントに涙ぐましいときに、この「正論 友の会」のお招きで那覇までお招きくださり、決して沖縄でも少なくない愛国者の方々のまえでお話させていただく機会をいただいた。ほんと毎度するどい切り口はあいかわらず、頭が下がる。