激しき雪 

激しき雪
■著者山平重樹
■発行(株)幻冬舎
■定価690円(税別)

元都知事でもあり作家でもあった石原慎太郎氏が推薦文を帯にしたためた、本書の表紙の写真を撮影したのはもはや30年近く前のことになる。本書の主人公である野村秋介の晩年の撮影を、あのような最期を覚悟した上でわしに依頼されたことでさえ十分にカメラマン冥利に尽きる。表紙だけやない。第4章では野村秋介が参議院選挙に打って出るきっかけとなった夫人とのシチリア旅行にともにでかけた際のくだりに名前までだしていただいた。居並ぶ本書に登場される著名な方々や愛国者の皆さんの末席を汚したようでお恥ずかしい限りであるが、著者の山平重樹氏には感謝しかない。しかし早いもんである。野村秋介が朝日新聞の役員応接室で自裁を遂げてから27年である。今年ワシはとうとう野村秋介が自裁を遂げた年齢を超えてしもうたのである。58歳までにこの世に大きな功績を残して、散った野村秋介とわが身をしげしげと見つめ、今だ報道写真の道一本ですら極めるどころか、世のためになんのためにならんことばっかやってるのである。恥ずかしい。表紙のおのれが撮った写真をまともにみることができない。