世界の艦船 11月号(弟911号)

世界の艦船 11月号(弟911号)
■発行(株)海人社
■定価1,250円(税別)

消費税が8%か10%か微妙な時期やが、週刊文春編集部の得は記者を通じ、元海上自衛隊自衛艦隊司令官、香田洋二海将が探している写真をわしがもっているので、提供してもらいたいと連絡いただいた。香田元海将はテレビでも北朝鮮のミサイルから、韓国海軍の敵対行為によるレーダー照射事件なんかでもテレビのブラウン管の中で解説されて、お顔はお茶の間でも知られているが、わしは書くイベントでしょっちゅう顔合わせていたので、何も人づてなんか、めんどくさいことせずに、直接ご連絡してくれたええのにと思うたが、何と、27年前の日本が初めて参加したカンボジアPKO派遣のしかも海上輸送部隊のしゃしんであった。当時ワシの処女出版となった「ああ、堂々の自衛隊」(クレスト社刊)のもとにもなった週刊文春誌上で連載された「ゲロ戦記」の写真でった。詳細は「ああ、堂々の自衛隊」をい買ってから読んでいただくとして、航海は17日間、呉出港、カンボジア、コンポンソム(現シアヌークビル)入港前夜泊も入れると19日間無寄港、そのうち1週間は台風17号の真っ只中のバシー海峡という、わしにとっては拷問みたいな航海であった、が、まあそのかいあって出版にこぎゆけたんやが・・・そのときワシが乗ってたのが、輸送艦「みうら」カンボジア海上輸送部隊の旗艦といえば、聞こえはええが、当時すでに艦齢17年のババア船、そのうえ浅瀬にビーチングして戦車等を揚陸させるため、平底、まあ、たらい船、だから、スピード遅い、揺れる、そして何より排水量2000トンと小さいのである。これ結構正直に書いたんやが、海上自衛隊を怒らせたと、当時思うてたんやが、実はわしの記事が台風ならぬ神風が吹いたと小躍りしたいうのである。当時新型輸送艦の予算っを大蔵省と折衝中やったらしいんやが、そのサイズは実に「みうら」型の3倍以上の7000トン超、しかもそのスタイルが空母型の全通甲板、もう朝日新聞なんかが、赤旗振って反対してきよるんは必定、当然大蔵省との交渉も難航が予想されると覚悟してたときに、週刊文春のグラビアにバシー海峡で台風に襲われのたうちまわる「みうら」はワシが乗ってたから僚艦の「おじか」の写真がガビーンと載ったため、予算担当者はわしの写真持参で予算折衝にあたったところ、その後はあっさり、予算はとおり、「おおすみ」、さらに「くにさき」「しもきた」と3艦が就役、その後も「ひゅうが」型のようなもろヘリ空母型護衛艦が、さらにまもなく戦闘機を搭載するため改修予定の「いずも」型誕生につながったのである。ワシこの話、山田道雄元呉総監が練習艦隊司令官やったとき、練習艦「かしま」乗艦中、聞かされたが、今回この「世界の艦船」に掲載された香田元提督の論文にその下りと「大蔵省担当者を首肯させた1枚の写真」としてわしの「おじか」の写真がけいされ、改めて感無量であった。「世界の艦船」は若いマニア向けのビジュアル系ミリタリー専門誌と一線を画す歴史ある月刊誌で、あの「丸」と双璧をなすというてもええが、わしの名が載ることなんてまれである。香田元提督の本誌に掲載された論文も本号の特集のテーマに「現代海軍と島嶼争奪戦」とあるとおり、「初の空母型自衛艦おおすみ型の建造経緯」として、その歴史とその教訓をアカデミックに分析されている。