正論 2月号

正論 2月号
■発行産経新聞社
■定価780円(税込み)

今回の連載は青森まで出かけて、PKOの見送り取材であった。そもそも現在わが国が派遣しているPKO部隊はUNMISSのみ、つまり南スーダンのみや。それだけでも国民の注目集めてるのに今回の派遣部隊には新たにいわゆる「駆けつけ警護」と「共同防護」の任務が付与されたのである。まあむずかしい言葉の解説は本号を買って理解していただくとしてや、ようは武器使用が緊急避難と正当防衛以外にも可能になり、より実戦的訓練を続けてきて派遣される部隊なのである。そりゃあ自衛隊を目の敵にする新聞社も取材に押しかける。どうせ押しかけるなら青森より南スーダンに来たらええのに、まあ青森のほうが近いとはいえ、東京からも当日新幹線でドカーンと、青森駅からはシャトルバスでつぎつぎとお越しになられ、取材受付時間前に駆けつけるべく前泊していたわしと気合が違った。わしは厚木からアフリカのジブチに海賊退治に出かける航空部隊とそれを見送る家族で代表作撮ったのに、味をしめたわけやないのやが、まあジブチと同じ南スーダンという遠く離れたブラックアフリカに6ヶ月である。しかも「駆けつけ警護」という新たな緊張を強いられる任務が付与された部隊である。そりゃあ、長く家を空ける父、夫、兄弟、少しは母もまじっているが、美しく、哀しくもある別れのしぶいシーンを期待したっても不思議やないやろ。それがまあ、現場は違った意味で緊張していたのであった。なんちゅうても、野党や反日メディアは例によって平和憲法を持ち出し、「駆けつけ警護」は憲法違反やの、「見送る家族も不安を隠せない」やのもろ批判丸出しの事前報道を隠しようもなく、師団広報もそれを待ち受ける立場として甘い顔を見せるわけにもいかず、その両者が緊張感を増幅すており、いつもの和やかな出発風景を期待していたわしなんかがめんくらったという感じやろろか。とくに今回派遣される青森普通第5連隊の前身、というても前の大戦までの帝国陸軍と陸上自衛隊は無関係とはいえ、偶然同じ第5連隊は日露戦争直前、師団司令部目の前にそびえる八甲田山走破に臨み、遭難し、連隊のほとんどが遭難、凍死、全滅という悲劇の連隊である。まあその結果陸軍は寒冷地での戦闘訓練の重要性を痛感、結果、日露戦争への勝利につながったのであるが。5連隊は今も遭難があった1月はさけるものの、2月は最新の装備に身をつつむという当時との違いはあるもの、八甲田山走破訓練に臨む。その2泊3日のしゃれにならん訓練に完全同行したわしの取材は拙著「史上最低の作戦」(大田出版)に詳しいが現在はなかなか入手困難である。まあそんなかって知ったる第5連隊であるが、安部首相をトランプ大統領がハグして迎えたように歓迎されるかと期待していたわしが甘かった。まあ初日の壮行会には今も批判の集中砲火を浴びている稲田防衛相もくるというので、その緊張感もやむなしというとこか、それでも壮行セレモニーは固定取材で認められたものの、やはり派遣部隊も見送る家族も固い表情で、とても誌面化できるもんやなかったが、壮行会には稲田防衛相は出席できたが、わしも含めて取材は不可。いやあ大事なシャッターチャンスを青森まで来て逃すのは断腸の思いやったが、次の日の空港での見送りがメインである。早朝のおそらく一瞬になる、チャンスに期待したわしであった。結果はどうやったか・・・