Will 月刊ウイル 11月号

Will 月刊ウイル 11月号
■発行ワック(株)
■定価800円(税込み)

先月に引き続き18Pにも渡るカラーグラビアページという最高の舞台を与えてくださり、今回はワシの写真集「SCRUMBLE」に掲載された作品から抜粋して紹介していただいた。トップはワシの故郷兵庫県は姫路の代名詞姫路城が大規模改修され、前より異様に白くなった、いわゆるグランオープン前日の航空自衛隊のブルーインパルスの祝賀飛行の1シーン、その名も「ライジングサン」という演目である。姫路城の屋根の上から5機のT-4ブルーが朝日が立ち上るがとく弧を描く、それはそれはカメラのファインダーから目をはなしそうになったぐらいの驚異的展示飛行である。これ撮影ポイントずれたら台無しになるが、その細かいローケーションはさすがに毎回コースが微妙に違うので事前にわからず、運しだい、わしは実は前日、横浜、横須賀で、ヘリ空母型護衛艦「いずも」の就役式、処女航海の取材に行っていた。天候に恵まれ、横須賀では基地を見下ろす高台から、まさに絶景ポイントから。ちょいと早すぎる花見の酔っ払いからからまれたたり、周りに店も飲食店も一切ない隠れスポットのため車に常備していた非常食を5年前の震災以来久しぶりにみなでつついたりして、「いずも」横須賀入港をまっていた。みなというのはアメリカ取材でもごいっしょした菊池雅之氏や、拙著「国防男子」「国防女子」の動画を担当され、ほとんどのロケに同行した大沢孝夫氏らであった。かれらに「明日姫路市長からグランオープンセレモニーに招待うけているけど、今から横須賀から姫路まで行くには、新横浜で車停め、そこから実家西明石、翌朝姫路やと・・・めんどくさいな・・・仕事になる保障もないし、どない思います?」と相談したら、「ブルーが飛ぶんだったら、いいんじゃないですか?」と背中を押された。なんとかさぼる言い訳をさがしていたので、「ウエザーは?」とたずねると、現地の翌朝天候をスマートフォンでさぐってもらうと「快晴」のお返事、是非もない・・・が、まあ明日一番新幹線「のぞみ」で行っても間に合うやんということなった。道具は小型一眼レフに24-105mmレンズのみ、ほとんど一般招待客として姫路駅に1時間前について身動きとれなくなった。あまりの群集に囲まれ、駅を出るのも一苦労、50m道路をのろのろ城に近づき、二の丸公園前にとうとう進退窮まったぐらいの群集のなかで、身動きできんようになった。「前に生かせてくださーい」と叫ぶも「一般のかたはこれ以上すすめませーん」と兵庫県警機動隊のおっさんのだみ声が返ってきた。「招待客でーす」と招待状をふりかざすとほかにもおっさん一名が同じく招待状をふりかざしているのが見えた。「それじゃあそのお二人、私が先導しますので信号かわったら横断してくださーい。」とほうほうの体で二の丸公園に入れたと思うたらとなりのおばはんがちゃっかりわしら二人といっしょに入り込んだ。「こら、そこの、おばさん、だめやというとるやろ」という警察官の制止をふりきり、そのおばはんも公園のなかに消えた。取材もとい、きょうは一般招待席に案内される途中轟音が聞こえ、上空を見上げたしそのとき撮った写真がこの巻頭カット、わしの飛行機作品の代表作はこうやって撮られた。