正論 6月号

正論 6月号
■発行産経新聞社
■定価780円(税込み)

今月の連載は警視庁主催の対テロ合同訓練、東京駅とそれに続き、夢の島で行われた、大規模な訓練である。何がすごいって、夢の島での訓練ではワシも初めて見るSAT,特殊急襲部隊を目の当たりにでけたのである。ただグラビアの掲載写真はSATではなく、警視庁独自のERT(緊急時初動対応部隊)である。訓練とはいえ、巨大ターミナル東京駅にMP−5を構えた完全武装の部隊が姿を現したのである。新聞、テレビの写真や映像と違ってそれはそれはしぶいど迫力のある作品が撮れた。そのうえ夢の島でSATという正真正銘の特殊部隊を決められたアングルからだけとはいえガビーンとカメラに収められたのである。こんな機会そうやたらめったにめぐってこん、とばかりに撮りまくって・・・ばっかでは能がないので、わしなりに分析させてもろうた。今回SAT隊員が身にまっとった突入服、ERT隊員の濃紺と違って微妙に黒い。それにテレビや映画の中と違って、防弾ベストやタクティカルベスト、果ては車両に至るまでどこにもSATと書かれたというより、SATと明らかにわかる目印がないのである。そりゃあ隊員としては選ばれた少数精鋭や。胸や背中にデカデカとSATのエンブレム背負い、肩で風切って歩きたいやろうが、そこは強者ほど静なもんである。どこぞの国の見かけだけの特殊部隊や口だけの秘密部隊とそこが違うとこやろ。ただそんなに歴史のあるSATではないが、すでに若き20代の殉職者をだしている。忘れてへんか?愛知県長久手の立てこもり発砲事件、無謀にも警察官にまで発砲し重傷を負わせた凶悪犯に立ち向かった愛知県警のSATの若い隊員が悪党の放った凶弾に倒れた。不運にも火薬量の多い357マグナム弾がSAT隊員の防弾ベストの隙間から体内にめりこみ、2度と立ち上がることはなかった。今回の人質救出、犯人制圧突入時もSAT隊員は一列縦隊で倉庫に突入していった。あれは先頭が撃たれ倒れたら2番手がそれを踏み越え、それも倒されたら、3番手が取って代わるという作戦であろうと見た。