正論 5月号

正論 5月号
■発行産経新聞社
■定価780円(税込み)

今月の連載はここ5年間通して東北の話題である。今年もこの季節長く東北にでかけた。今年は10日間、福島、宮城、岩手3県を渡り歩いた。おもな主題は福島の富岡の除染土、」と双葉の「原子力、明るい未来のエネルギー」の看板撤去現場、宮城の化女沼遊園地の南三陸の防災センター周辺と3月11日は石巻沖の洋上慰霊祭であった。東北取材はとにかく移動が長い。今日はあれもこれもがなかなかできん。とくに富岡は毎日通いなんとかベストなタイミングとアングルを模索した。このグラビアの掲載写真のほかに除染土の山にのぼったり、国道6号わきの空き地に放置された車両群とかもさんざん撮ったが、この車両群は震災、津波の直接被害にあったわけでも、逃げる途中に捨てられそのままになってたわけでないので、あきらめた。ただ深草に沈んだ高級車群が5年という時間の経過を表しとるし、某雑誌はド勘違いして、津波から逃げる途中放置というおまぬけキャプションを打つぐらい、絵になった。同じ理由で化女沼遊園地もあきらめた。というか、被災地は立ち入り制限区域への立ち入りは自治体の許可が必要でそれを申請、取得しとったらただでさえ移動に時間とられるのであきらめた。そうなると国道6号線を一歩脇に入ったら、もう即立ち入り制限内、塀の外に脚立立てて中撮るか、日曜なんにゲート開けたまま誰もおらん区域に立ち入るしかない。化女沼遊園地なんかそもそも私有地、地主さんの連絡先聞いたが、敷地内で新たに温泉が湧き出したというのは復興の足がかりになるんやろうが、直接震災の被害とちゃうというのであきらめた。ところでこの掲載写真のアングルも迷った。何日も通い、夕方、好天の日を選び、かつかなり高いアングルは電柱に脚立かけ、かつ思いっきり絞らなあかんから三脚も必要やったんやが、それもできず、また沖合いの船影の通るタイミングもあり、撮るに撮りまくり、そのうちの数枚の当たりが幸いにもあった。