SHOOT ON SIGHT

SHOOT ON SIGHT
■発行辰巳出版
■著者 宮嶋茂樹 原田浩司 横田徹 藤野眞功
■定価 2400円(税別)

めずらしい3人のカメラマンによる写真集と対談である。主役は3人のカメラマンより、企画、編集を担当した藤野氏であろう。写真を仰山見てきて、よく勉強された藤野氏が3人のインタヴューの相手をし、かつ対談の司会も担当した。やはり写真業界にいらしただけに、写真セレクトもまずまず、なんちゅうても今まで写真集だすのはほんま大変やったが、今回はスムーズにいって、3人とも納得したはず・・・と思う。ただ震災のせいで出版が大幅に遅れ、ちょっとほんまに世にでるのか、いやだいぶ心配しとったから、ほんまによかった。これで売れてくれたらもっとええ。写真はいままで発表できんかったようなきっつーい作品からほっとするような、くすっと微笑みが漏れるようなもんまで、一人だけでもじゅうぶん見応えあるというのに、3人分で、お得感あるで。まあお二方とも知らん間柄やなし、原田氏とは拙著でも何度も名前がでるぐらい世界のしゃれにならん現場をともにしてきた。特にアフガンはきつかったのう。横田氏とはつい先日の東日本大震災発生時、偶然いっしょに山梨の射撃場にいたからには・・・というわけで2週間以上東北でわしのランクルでともに取材し、放射能の雨を浴びながらにげまどい、同じ釜の飯もろくに食えんかったひもじい思いをしてきたばかりである。名ばかりのジャーナリストと違い我ら報道カメラマンは写真残さないかんのである。発表できんかったらただのツーリストなのである。我々が見たとゆうことは写真があるから説得力があるのである。また本書は撮った本人3人の対談まで掲載されとるが、こんな本音対談を写真集とともに載せるのははじめてであろう。これも藤野氏の企画であろうが、司会がシロートでよく閉口するが、今回は順調というより、3人とも酒のせいでもなかろうが、饒舌であった。3人いや藤野氏もいれたら、4人とも酒もたばこもたしなむのは偶然か。装丁もこのご時世に豪華、表紙は凹凸のついた高価なインク、紙も厚手で絹目でわしの写真集では「いつでも、どこでも、誰とでも」も絹目やが、それよりまだ光沢がない。しかもカラー。絹目はコントラストがねむく見えるが、ゲラの段階ではむちゃくちゃコントラストがついていたのでねむくするようお願いしたが、ちょうどよくなったと思う。震災で東北にある製紙工場や印刷所がことごとく被害を受け、製本や印刷がしばらくできんと心配しとったが、インクはアメリカ製のを輸入して代用したので、舶来調の写真集が店頭に並んだらしいが、本書もそうやろか?タイトルの「SHOOT」には撃つのほかに「撮る」の意があるからぴったりやが、「ONSIGHT」がようわからんかった。「IN SIGHT」は軍事専門用語ほではないが、わしらも仕事中通信中よう使う「視認した」「見えた」と意である。たとえば「TARGET IN SIGHT・・・」(目標発見)てな感じ、せやけど「ON SIGHT」は分からず辞書ひいたら、「見て直ちに」「一目で」てな意味やった。まあ「見えるものは考えずにとりあえずすぐ撮ったれ」てなかんじやろか。まあ報道写真専攻の若い衆も絶対買いや。3人のうち原田氏は今も社カメやから就職希望のやつも勉強になるで。