ARMY 第72号 2016年春号

ARMY 第72号  2016年春号
■編集・発行陸上幕僚監部監理部総務課広報室
■定価無料

今年もARMYの選好季節となってきた。その名も「PHOTO OF THE YEAR 2015」今年というても撮影されたのは昨年やから2015となっているが。今年も力作揃いであったが、不幸にも今年も我が国は自然災害に襲われ、自衛隊が災害派遣される機会も多く、そのような災害救援作品も見られた。特に常総市の大洪水で自衛隊のブラックホークの救出シーンはブラウン管でも生中継され、多くの国民の目に触れる機会も多く、わしはそんな国民が不幸になる災害を表現した作品に優劣をつけるのははばかれたのも事実であるが、写真的には秀逸なものもあり、あえて写真の鬼となり、そんな作品もえらばせてもろた。それにしてもわしもこの審査員やらせてもろたはじめのころから言うとったことやが、本作品は質は別として、どれもタイトルが硬い。もうこれは自衛官が広報目的に撮影されたもんやからしゃあない・・・とあきらめたらあかん。多くの人に見てもらい、かつその作品で自分が表現したいことを端的に言い表すタイトルも写真同様いかに重要かやっとこさ、陸上自衛隊コンバットフォトグラファーも分かってくれたみたいである。最優秀賞のタイトル「鵜の目鷹の目」もええし、優秀賞の「放火雨」もええが、佳作の「重鎮の三つ葉」、確かに155mm自走榴弾砲の射撃煙は三つ葉のクローバーに見える。これはこの作品を選んだ菊池雅之氏も指摘されとる。が、これリモートシャッターらしいが、わざとこのクローバー煙を写しこむために開けてるのである。これはすごいの一言、しかも青空という天気にもめぐまれた。それに対しわしが佳作に選んだ、知らん間柄やない桑原2曹の作品は写真の質はたかいがタイトルが「夕日を背に」というそのまんま。桑原2曹は東日本大震災直後は福島駐屯地広報陸曹でともに無人となった浪江町に入った経験あるが、その写真の撮影技術、能力向上にたいする努力は並大抵ではないが、そんな個人的理由でこの作品を選んだわけでは断じてない。 審査員もわしのほかは毎年通り、福田正紀氏、菊池雅之氏、大野広幸氏の3名は同じ。このARMYの選好後、各方面の広報担当の方々に集まっていただき、講義を丸一日かけて行うのやが、昨年は西方、つまり西部方面隊であった。実家明石から新幹線で博多乗換えで熊本市健軍にある西部方面総監部にかけつけ、一席ぶったあとは当時の総監の番匠幸一郎陸将ともイラクでの思い出話に花を咲かせることもできたが、その番匠さんもこの西方総監を最後に制服を脱がれた・・・その翌年に北朝鮮による弾道ミサイル発射騒動に熊本地震である。地元西部方面隊はみずからも被災者でありながら、行方不明者捜索や復興にあたっている。