キネマ旬報 1月下旬号

キネマ旬報 1月下旬号
■発行(株)キネマ旬報社
■定価 850円(税別)

キネ旬の愛称で知られる「キネマ旬報」が隔週やなしに毎月2回発行であることはあまり知られていない。というか、わしは隔週やとばっかし思うとった。というわけでわしの原稿は1月下旬号に掲載された。寄稿を依頼されたのは、あの、あの、S.スピルバーグ監督しトム・ハンクス主演の最新作「ブリッジ・オブ・スパイ」の解説。スピルバーグとトム・ハンクスのコンビといえば、あの、あの、戦争映画の歴史を塗り替えたといわれる「プライベート・ライアン」以来、今回も広い意味で戦争救出映画である。まあ映画の詳細やラストを試写会見て自慢そうにばらすほどワシは悪趣味やないので、ぜひ映画館の大きなスクリーンでスピルバーグご自慢のデティールにまでこだわり尽くした映像を堪能されたい。さすが、スピルバーグまあ実際当時のベルリン知るものも十分満足させられることは当時・・・から15年ほどたったが、冷戦バリバリのベルリンを知るワシは少なくとも頭が下がるほど、満足した。まあ本号の半分ぐらいはスピルバーグの特集やから、さまざまな映画関係者がこれまたさまざまな角度からこの作品のみならず、他のスピルバーグ作品までようく解説してくれるので、だいたいあらすじは読めるわ。ほかには最近また東京五輪のエンブレム選考で話題になっとる東京五輪の最初のほうを記録映画に収めた映画監督、市川崑の特集も掲載されとるが、その市川崑の監督した「東京オリンピック」の記録映画はわしも観たが、日の出る国をイメージした、朝日の超望遠カットのオープニング、ありゃあすごかった。その半世紀も前の東京五輪のエンブレム、こないだのパクリ疑惑のエンブレムと違いシンプルやけど、しぶいと改めて思いしらされたけど、ポスターも今観てもしぶい。特に陸上選手のスタートダッシュを真横から捉えた瞬間、さまざまな人種の選手が躍動感あふれ、まさに五輪にふさわしいイメージやが、写真を少しでも勉強したカメラマンで知らんやつはおらんが、これ早崎治氏の手による。早崎氏はスポーツと全く縁のない写真家やが、それが当たった。せやかて、あの写真選手全員にピント合致してるように見える、横から望遠で撮ってやで。ありゃあ広告やった写真家しか思いつかんアイデアやろ。しかも広告写真家は光を回すことに気を遣うが、早崎氏はあえて黒バック。あれも大胆や。他には写真家広河隆一氏のドキュメンタリ映画の批評も掲載されてるが、広河さん、映画の主人公なられてたんですね、知りませんでした。しかも伝説の反骨報道写真家、福島菊次郎のドキュメンタリー映画を監督した方がこの映画も監督されたと。福島菊次郎の写真集はわしも学生時代に買ったが、大ショックを受けた。これは命いくつあっても足らんわ、と直感したとおり、福島菊次郎は家火かけらえたと聞いた。それぐらい当局を怒らせ、怖がらせたのであろう。とてもわしなんか及びもつかんわ。さらにさらに、わしが紹介コメント寄せさせてもろた、トルコ、独伊露加仏ポーランド合作映画「消えた声がその名を叫ぶ」の批評も掲載されとる。