戦場中毒

戦場中毒
■著者横田徹
■発行(株)文藝春秋
■定価 1,500円(税別)

東日本大震災を当初ともに取材し、福島第一原発が水素爆発起こしたときはともにわしの原付またがり雪に降られ逃げ惑った。それほど音も臭いもしない原発事故はそこらの戦場より怖かった。そのともにいた横田さんが文春から単行本だされるというので、わしも帯に紹介のメッセージ寄せさせてもらい、宣伝に一役買わせてもろた。この横田氏こそ・・・」のほかに、わしが気に入ってたのは、「自称・戦場カメラマンではない、人呼んで戦場カメラマンである」があったんやが、まあ「名ばかりの・・・」のほうが選ばれた。他には横田氏と顔も体つきもそっくりなマニー・パッキャオの名をだしたんのもあったんやが、まあこれが一番ええとなった。本文でもワシの名もちょこっとだけ出してもろたが、ワシが横田さんと同じ時期に同じ現場踏んだのは実質あの東北の現場しかない。あの日、放射性物質レッドゾーンと後で知らされた峠で、わしの燃費悪いランドクルーザーがガス欠で動かなくなった恐怖をともに味わったが、それ以後も約2週間東北で交代でわしのランクルころがしながら、取材つづけられたが、仙台を最後にまだいつ新幹線も復旧するかわからんかったので、長距離バスに並んで帰京されていかれた。あの最後晩に仙台の国分町で震災からまだ復旧の見込みさえ見えんかった時に信じられんくらい旨い炭焼きのキンキダイおごっていただいた。まあそれからも共同通信の原田浩司氏らと3人で写真集「SHOOT ON SIGHT」出版するときも過去の話をお互いさらしたが、本書は横田氏単独の著者やからそれよりはるかに詳細でえぐい内容である。はっきり言うて、今もなにやっていこうかと悩む若者には「こんな境遇でカメラマン、しかも戦場をメインにシノギした人がいるんや」と励みになることは請け合いである。横田氏はわしのような高校生ぐらいから、カメラマンなろうしたのでなく、父上から写真のてほどきをさらっと受けた以外は独学である。英語も洋服雑貨の取引で単独で西海岸に滞在してたときにほとんど身につけられた。少し遠回りしても、自分の夢を見つけ実現でけると自ら体現され、多くの若者にも夢を与えられるが、それでも本書を読み終え、戦場をメインにしのぐカメラマンになろうとする若い奴は・・・やっぱおらんか・・・さらにイスラム国を取材し、帰国されたときはさっぱり売れんかったシリアの写真が湯川氏、後藤健二氏が拉致された直後から雑誌どころか、新聞、テレビにも出ずっぱりになったものの、メディアによってはとんでもない紹介されたくだりも笑えた。わしとしては後藤氏の拉致、殺害がきっかけというのはあまりに皮肉やったが横田氏の労作がやっと正当な評価を受け、妥当な値がついただけとほっとした。横田さん、ワシは母親の喪中やから今年一杯殺生はひかえとるが、射撃練習やったら、おつきあいしまっせ。あっいかん・・・東日本大震災も二人で射撃訓練中に起こったんでしったっけ・・・